研究プロジェクト
宇宙医学研究プロジェクト
宇宙飛行士が働く宇宙空間は、微小重力、宇宙放射線、隔離閉鎖環境といった特殊な条件下の「極限の職場環境」といえます。わたしたちは、産業精神医学に関する知見をベースに、宇宙飛行士のみならず、宇宙開発分野で働く労働者や南極観測隊など特殊な環境で活動する集団に対する調査研究、宇宙飛行ミッションを模擬した閉鎖環境実験を通して、宇宙環境におけるストレスが宇宙飛行士のメンタルヘルスに及ぼす影響を明らかにするための研究を行っています。月面有人探査ミッションが計画され、宇宙旅行が現実味を帯びてきた中で、最先端を行く学問領域です。
【主要な研究業績】
Shin-ichiro Sasahara, Andrea Christina-Sylvia, Go Suzuki, Yuichi Oi, Shotaro Doki, Daisuke Hori, Takashi Ohira, Chie Matsuda, Natsuhiko Inoue, Tsukasa Takahashi, Yuh Ohtaki, Tamaki Saito, Satoshi Furukawa, Katsuhiko Ogata, Ichiyo Matsuzaki : Effect of exercise on brain function as assessed by functional near-infrared spectroscopy during a verval fluency test in a simulated International Space Station environment: A single-case, experimental ABA study in Japan, Acta Astronautica, Vol.166, 238-242, 2020
Shin-ichiro Sasahara, Yuichi Oi, Shotaro Doki, Daisuke Hori, Yuh Ohtaki, Christina-Sylvia Andrea, Tsukasa Takahashi, Nagisa Shiraki, Yu Ikeda, Tomohiko Ikeda, Ryutaro Izumi, Tamaki Saito, Ichiyo Matsuzaki : Structured Review: Psychosocial Stress During Long-Term Stays in Space, Trans. JSASS Aerospace Tech. Japan, Vol.18(5), 180-185, 2020
Shotaro Doki, Daisuke Hori, Shin-ichiro Sasahara, Yasuhito Hirai, Yuichi Oi, Yuh Ohtaki, Andrea Christina-Sylvia, Kunitoshi Hishikawa, Olga Malyshevskaya, Rintaro Mori, Ichiyo Matsuzaki : Biomarkers for detecting psychological stress of simulated spaceflight mission in a confined environment: A structured review, 宇宙航空環境医学, Vol.56(2), 11-24, 2019
三垣和歌子、笹原信一朗:宇宙開発における心理社会的ストレスのこれまでの知見と、今後の宇宙開発への心理学の応用可能性.心と社会, Vol.198, 101-106, 2024
道喜将太郎、松崎一葉:月・火星探査に向けた閉鎖空間に長期に滞在する宇宙飛行士のストレスマネジメント.医学のあゆみ, Vol.198(6), 641-646, 2021
【研究費】
文部科学省 科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 令和7年度~令和11年度
宇宙が映す生命
文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型) 平成27年度~平成31年度
宇宙に生きる宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解
TSOC-Sについて
TSOC-S(つくば健康生成職域コホート調査)は、つくば研究学園都市における生活環境や心の健康の実態把握を目的として、1988年に開始された調査です。当初は、1970年代に報道された「つくばシンドローム」に関連する自殺問題の予防を目指して行われました。以降、5年ごとに定期調査が実施され、2021年度からは「より健康的に働き続けるための要素」を探るために調査内容を刷新し、名称も現在のものに変更されました。過去の調査から、生活環境満足度の向上や交通手段改善の課題が明らかになったほか、仕事のストレスやサポートに関するデータも収集され、働きがいや支援が増している実態が示されています。
【主要な研究業績】
Doki S, Hori D, Takahashi T, Muroi K, Ishitsuka M, Matsuura A, Tsukada H, Migaki W, Kanai N, Ikeda Y, Takao S, Matsuzaki I, Sasahara S. Designing a test battery for workers’ well-being: The first wave of the Tsukuba Salutogenic Occupational Cohort Study. Environ Health Prev Med. 2024;29:39. doi:10.1265/ehpm.23-00372.
Doki S, Sasahara S, Hori D, Oi Y, Takahashi T, Shiraki N, Ikeda Y, Ikeda T, Arai Y, Muroi K, Matsuzaki I. Comparison of predicted psychological distress among workers between artificial intelligence and psychiatrists: A cross-sectional study in Tsukuba Science City, Japan. BMJ Open. 2021;11:e046265. doi:10.1136/bmjopen-2020-046265.
Hori D, Takao S, Kawachi I, Ohtaki Y, Andrea CS, Takahashi T, Shiraki N, Ikeda T, Ikeda Y, Doki S, Oi Y, Sasahara S, Matsuzaki I. Relationship between workplace social capital and suicidal ideation in the past year among employees in Japan: A cross-sectional study. BMC Public Health. 2019;19:919. doi:10.1186/s12889-019-7244-9.
【研究費】
科学研究費補助金 若手研究「科学研究費補助金 若手研究「人工知能を用いた職場のメンタルヘルス支援システムの構築ー革新的休復職判定ー」(研究代表者:道喜将太郎, 2019年度~2022年度)」(研究代表者:道喜将太郎, 2024年度~2027年度)
科学研究費補助金 若手研究「人工知能を用いた職場のメンタルヘルス支援システムの構築ー革新的休復職判定ー」(研究代表者:道喜将太郎, 2019年度~2022年度)
科学研究費補助金 若手研究「職場でありがとうを伝えることが健康に繋がるか?感謝によるレシプロカルケアの可能性」(研究代表者:堀大介, 2020~2024年度)
労働者や学生を対象としたNBI(Nature based Intervention)プログラムの検証
NBI(Nature based Intervention)とは、自然環境を活用した介入プログラムになります。欧州ではリハビリテーションプログラムや、ヘルスプロモーション活動として盛んに行われており、本場のスウェーデン農業科学大学(SLU:the Swedish University of Agricultural Sciences)への視察も行ってきました。
本研究プロジェクトでは、労働者や学生を対象とした自然環境を活用したストレスマネジメントプログラムの検証、千葉大学を主体とした一般市民を対象にした多様な農福連携に貢献できる人材育成プログラムの履修証明プログラムと連携して、自然の精神的健康への効果検証を研究しています。
【主要な研究業績】
Ishii M, Noda K, Kawai A, Sasahara S, Ishitsuka M, Honda R. Validation of a nature-based sensory program incorporating elements of nature-based rehabilitation. The Journal of The Japanese Society of Human Care and Network. 2024;22(1):54-66.
笹原 信一朗, 石井 麻祐子, 石塚 真美, 室井 慧, 岩﨑 寛, 高橋 司, 堀 大介, 道喜 将太郎. 自然を活用したうつ病リハビリテーションの検討. 日本園芸療法学会誌. 2024;16:1-5.
石塚真美, 笹原信一朗, 佐藤乃理子, 石井麻有子, 佐倉健史, 金澤英紀, 野田勝二. 自然の中での休息とリラックス:サルトジェニック・プログラムの効果検証. 産業衛生学雑誌. 2024;66(臨時増刊号):607.
【研究費】
・基盤研究(C)23K10299(2023–2027)医療従事者における自然と人のつながりを活用したサルトジェニック・プログラムの開発研究
・基盤研究(B)18KT0039(2018–2023)日本の豊かな農資源を活用した次世代のうつ病リハビリテーションモデルの検証実験


AIと産業医学の融合
技術革新により、デジタルメンタルヘルスの活用が進み、労働者のメンタルヘルス支援の新たな可能性が広がっています。従来の研究手法では解決が難しかった課題に対し、人工知能を活用した新技術で支援を行う研究開発を行っています。本研究では、労働者の心理的負担や生産性を予測し、より効果的な介入を目指しています。
【主要な研究業績】
Doki et al, Comparison of predicted psychological distress among workers between artificial intelligence and psychiatrists: a cross-sectional study in Tsukuba Science City, Japan, BMJ Open, 2021
道喜ら、人工知能による労働者の労働生産性推定モデルの開発、日本産業衛生学会第1回関東地方会学会、2024
【研究費】
2024-2025 AMED次世代ヘルステック・スタートアップ育成支援事業 人工知能を用いた労働者のメンタルヘルス改善システムの研究開発
2024-2027 科研費基盤研究(C) 人工知能を用いた労働者の感情解析と生産性向上のための業務支援システムの開発
2022-2023 筑波大学 幸多き人生100年時代を創る「知」活用プログラム 労働は人生の豊かさにつながるのか?~産業精神医学と人工知能技術の融合~
2019-2021 科研費若手研究 人工知能を用いた職場のメンタルヘルス支援システムの構築-革新的休復職判定-
公立小学校・中学校等教員勤務実態調査研究
私たちは文部科学省委託研究「公立小学校・中学校等教員勤務実態調査研究」にメンタルヘルスの専門家として参加しました。本研究では全国の公立学校の教員にアンケート調査が実施されました。得られたデータから、教員の勤務実態とメンタルヘルスの関係を多角的に分析しています。労働者のメンタルヘルス不調の予防のため、科学的根拠に基づいた助言や政策提言を行うことを目的としています。
【主要な研究業績】
Hori D, Sasahara S, Oi Y, Doki S, Andrea CS, Takahashi T, Shiraki N, Ikeda T, Ikeda Y, Kambayashi T, Aoki E, Matsuzaki I. Relationships between insomnia, long working hours, and long commuting time among public school teachers in Japan: A nationwide cross-sectional diary study. Sleep Med. 2020;75:62-72. doi:10.1016/j.sleep.2019.09.017.
【研究費】
科学研究費補助金 若手研究「労働者はどれくらい仕事から離れるべきか:連続休息時間の確保に向けた実証研究」(研究代表者:堀大介, 2024~2027年度)